Shamisenbouzの日記

冷めやすい性格の私が唯一長続きしたのが24歳から始めた三味線。三味線や音楽、たまにはその他の話題について、日々、四苦八苦したり伝えたい気持ちをマイペースに発信していきます。

cakewalk by bandlabでドラムの音作り

 

はじめに

 

二十代から三味線演奏を嗜んで、今年8月から、吉田兄弟上妻宏光さんらのような格好良い曲を超える、三味線のオリジナル曲を作れるようになるぞ!と、意気込んだはいいものの、三味線一本での作曲(メロディー&リズムを決めて独奏)だけでなく、いわゆるDTM(パソコンの作曲ソフト)を使っての編曲(三味線以外の楽器の音を入れたり、エフェクター使ったり、ミックス作業もしたり)を目指していますので、覚えることはたくさんあるし、苦手なパソコンを使うがために、音楽以外の意味分からない壁にぶち当たりまくったりと、中々、もどかしい日々を送っております。

 

なんとかカバー曲二つを作ってみたものの、基礎、基本がないために、ホントに行き当たりばったりの『デキちゃった』感じで、自分の意図した編曲、意図した音を出して聞く人を楽しませてみたいものですなぁ。

 

shamisen bouz - YouTube

 

なので、自分が段階的に、具体的に理解していく意味でも、自分自身のためにも、試行錯誤の痕跡をブログに書き出して、自分のようにこれから始めようとする方のほんの手助けにもなれば幸いだ。

 

私が演奏するのはリズムが特徴的な津軽三味線で、作曲やDTM作業でもリズムは屋台骨となるので、これを出来るだけ理解し、マスターしようと努めるのは必須だろう。

ということで、今回はcakewalk by bandlabというフリーソフト、MT-PowerDrumKitというドラム音源を用いて、ドラムの音作りについて、手探りしていきたいと思う。

 

ネットでも有益な情報を提供していただけるサイトはあると思うが、超初心者にとっては、一冊マスターすれば一つの基礎、基本形が習得できるような、まとまった参考書的なものが欲しくなったので、探してみると、

 

 

というのが、見つかった。

この本は文章の説明だけでなく、プロが、ミックスを勉強するための参考音源をCDにして付録してくれていることがメリットで、いくつもの作曲ソフトに対応しているので、自分が使っているソフトに音源を貼り付けて、自分自身でツマミをいじりながら、音の違いを確認しながら、勉強を進めていけるのが素敵なポイントだろう。

この本をもとにしながら説明していく。

 

今回ドラムのミックスを勉強するのに参考にしたのは、PART1のフェーダー操作編、と、PART2のEQ(イコライザー)徹底活用編だ。

 

フェーダー操作(音量調整)

 

まずはフェーダー(音量)操作を勉強してみたい。

MT-PowerDrumKitには、いくつものドラムパターンが収録されているので、その中から一番シンプルなフレーズを選び、オーディオトラックにドロップ&ドラッグ。

 

調整後の音声を貼り付けていくが、ヘッドホンの方が違いが分かりやすいと思う。

ヘッドホンの場合は、くれぐれも耳を傷めないように気をつけて聞いて欲しい。

 

オーディオトラックに貼り付けただけ。これはなにもいじっていない。これだけでも格好良く聞える。が、バランス的にスネアやキックの音が大きく、シンバルが小さい。

 

迫力、音圧をあげるには、高い音から低い音までまんべんなく音が鳴っていないといけないという。また、ロックバンドサウンドで高音を稼げるのは、シンバル、ハイハット類の金物が唯一だ。

 

「じゃあシンバルの音量を上げればまんべんなくドラムの音が鳴りますね」と、初心者の発想で、高音を稼ごう、目立たせようとすると、シンバルのボリュームを上げてしまいがちだが、目立たせたいトラックの音量を上げていくコンセプトだと、他の楽器を含めたミックス作業に入った時、全体のマスターボリュームがどんどん上がってしまい、爆音状態、下手すると音割れしてしまうので、シンバルは0dbのまま、キックやスネアの音を先に下げてから調節する方がいい、というのが先記の本の主張だ。

 キックを-10dbしてから、スネア、ハイハット、シンバルの順に調整した。

 

シンバルをなるべく0dbから下げないように、シンバル>キック>ハイハット=スネアのバランスで調整する。

これから、 二番目に貼った音声データを基本として比較していってもらいたい。

 

「ルーム」・「オーバーヘッド」

 

新しい言葉を覚えた。

「ルームマイク」・「オーバーヘッドマイク」だ。

私はドラムを演奏できないので、バンド演奏を聞いていても、ドラムの音というのを注意深く聞いてこなかったのだが(反省・・・)、ドラムの録音、打ち込みをする際には、ルームマイク、オーバーヘッドマイク、という音をミックスしてドラムの全体像を形作っていくらしいのだ。

DTMに限らず、ドラム演奏の時にも、いろんな所にマイクを立てて、ドラムサウンドを形作っているらしい。

 下の写真がオーバーヘッドマイク。

キック、スネアを中心として、太鼓の発音する場所の近くで録音するのが「オンマイク」というらしいのだが、金物の高音域成分が不足する。上に貼り付けた、一番最初の音声データのように。

そこで、「オーバーヘッドマイク」によって、シンバル、ハイハットなど高音域のパートを中心に録音し、「オンマイク」の録音にミックスしていく。

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これがオーバーヘッドマイク。シンバルやハイハットの音を中心に録音し、高音成分を補う。ライブ演奏の時でも、そういえばこういうの立ってたな・・・。

 

 そして次に「ルーム」。呼び名と同じく、ドラムを演奏している部屋の空気感を出すのに重要だ。演奏しているドラムから数メートルほど離れた所から録音するらしい。

 

さて、「オーバーヘッド」、「ルーム」という新たな知識を、単純打ち込みしたドラムの音声にミックスさせて、生で演奏しているかのような素敵なサウンドにしなければならない。

ソフト付属音源や、ドラム音源の中には、あらかじめ「オーバーヘッド」、「ルーム」を再現できる機能が付属している場合があるようだが、私のDTM環境では、そのような贅沢な機能はついていない。

かといって出せるお金もないので、今ある道具で何とかするしかない。

先記した本に付属していたCDに、「オーバーヘッド」、「ルーム」のトラックが入っていたのを思い出し、それを聞き比べながらなんとかそれらしく再現することに・・・。

 

「ルーム」は、私のcakewalkに入っていたoverloudのBREVERB2というリバーブエフェクターを使って再現した。

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ROOMからDRUM UP FRONTを選択し、再現を試みた。

 

「オーバーヘッド」も、付属CDの音源を聞きながら、ドラムセット上部から録音しているような効果を、フェーダー調節して再現した。

 

そして、似非「オーバーヘッド」、「ルーム」マイクをミックスしてベタ打ちのフレーズにミックスしたのが、こちらだ。

 

違いを感じていただけただろうか?

音の膨らみというか、空気感が加わって 迫力が出たように思える。

各音量の調整は先記の本の書かれた通りに実行した。

 

二種類のマイクをミックスしただけでも、音の差は十分、変化したが、ドラム以外の音、例えばベースやギターや何やらを足していくと、キックの音などが埋もれて屋台骨であるドラムの威厳が損なわれてしまう場合があるので、次はイコライザーで音の味付けをしっかり付けていく。

 

イコライザー活用

 

味付けに使用したのが、cakewalk付属のsnitus equalizerとblue cat audioのBC-FreqAnalyst2だ。

超初心者にとっては、耳だけで音の違いを確認するのは不安な材料だが、アナライザーというものを使うと、音の違いを視覚的に確認できるので、心の支えになる。

 

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波線で、音の高低がどう出ているかが確認できる。

 この味付けも、参考にした本の書かれた通りに行った。今の自分なりに、自然で迫力のある、生っぽいドラムサウンドに近づけたつもりである。

 

さいごに

 

イコライザーを調節した結果がこれ。

よりブリブリしたサウンドになった。次回はドラムのミックスに慣れた上で、ベースの音を足し、迫力あるリズムトラックを目指していく。

長部日出雄 「津軽じょんがら節」「津軽世去れ節」

私が習った三味線のジャンルは津軽三味線なのですが、津軽三味線の歴史ってさかのぼっても明治時代からで、そんなに大昔のことでないのに、「~らしい」「そうだったらしい」というノリで出来上がっているところがあります。

大條和雄さんという津軽三味線歴史研究家がいらっしゃいまして、大條氏の著書で津軽三味線の歴史をまとめた本があり、読み応えがあって三味線をやっている身分からすると、あぁこういう先人達の流れがあるなら自分も頑張らないといけないな、なんて励みになるのですが、客観的事実を積み上げようとして、しかし、関係者に聞いて分からない事は想像で補っている部分があり、雑な言い方をすれば虚実ないまぜで、史料的価値は低い「らしい」。

津軽三味線の歴史は、まるで小説のようです。

 

私の苗字は『梅田』と言います。津軽三味線の世界にも『梅田』の苗字を冠した「梅田豊月」という名人がいました、なんでも津軽の梅田という部落の出身だったそうで。タイトルにもある、長部日出雄の表題作「津軽世去れ節」にも一瞬ですが、登場します。

 私の祖母の実家や親戚はみな秋田系ということもあり、自分のルーツが津軽の梅田村にあるのではないか、豊月は今で言う身体障害者で、三味線の弾き方も独特だったとか、のちの津軽三味線ブームを生む高橋竹山、木田林松栄の師匠筋だった、ということもあって、梅田豊月には多分に興味がありました。

 

田豊月の孫が津軽で床屋を営んでいるという情報を得て、ノコノコ出かけていったことがありますが、そのお孫さんに豊月のことを聞いても、やはり「分からない、三味線弾き、唄うたいはホーボーまわって歩くので私らには情報がない」と言われてしまいました。

昔の日本は、音楽を仕事にするのは視覚障害者の専売特許、健常者で家の仕事もしないで三味線や唄に熱中するのは『空っ骨病み・カラポヤミ』ですから、それをわざわざ記録して残そうなんて物好きはいなかった訳です。どこか、遊芸人に対する差別感情もあったみたいですし・・・。

 

逆に言うと、津軽三味線の歴史がうやむやな事は、想像力や仮説も立てやすく小説にしやすいと思います。

まさに、長部日出雄津軽世去れ節」、「津軽じょんがら節」の二作品のことでしょう。

この二つの小説は、実在した“嘉瀬の桃”、架空の“茂平先生”という人物から長部氏が想像力をたくましくして、津軽三味線津軽民謡界の創成期のことを表現した作品です。

 

 主人公の”嘉瀬の桃”、”茂平先生”ともに、健常者で家の仕事があったにもかかわらず、唄や三味線が好きで得意で芸人になっただけに、煮えたぎるような情熱が感じられます。

長部氏も、津軽三味線津軽民謡を題材とした作品で強調したかったのは煮えたぎる情熱そのもののようで、「津軽じょんがら節」の地元のお祭りでの何時間にも及ぶ三味線バトルのシーン、「津軽世去れ節」での主人公・桃と、女流民謡横綱・スワだかサワだかの一対一の唄バトル、長部氏は映画の監督もされているようで、自身の監督映画「夢の祭り」も女の取り合いに津軽三味線でバトルするシーンがあったり、長部氏の少年マンガばりの、主人公の自我の芽生え、バトル、成長といった情熱に対する表現パターンは、滑稽にも思えてくるものがありますな。

 

それでも、津軽三味線、音楽、楽器が好きな人は、長部氏のこの二作品を読むことは感情の刺激になって損ではないと思います。

短編ですし、読みやすいですよ?

 

なんだかこのブログも、桃や茂平先生と同じく尻すぼみになってしまったな・・・。

 

夢枕獏 編著 「琵琶綺談」

今日、テレビを眺めていたら、TOKIOの元メンバー、山口達也氏が飲酒運転で逮捕されたそうな。

むかぁしむかし、東京・谷中の商店街を散歩していると、商店街の中に新しく出来たであろう観光案内所に、地元のヒトと山口氏がにこやかに会話していた姿を思い出す。

どうやらプライベートではなく、仕事の待ち時間だか、あいまにその時間を過ごしていた雰囲気だったが、遠くから見ても、いい服を着て、綺麗に髪もセットされて、体の外側から内側から、キラキラ輝いている姿は、あぁ「あれが芸能人なんだな」と、ちょっとした一瞬、すれ違いざまでさえ、強く私の頭に印象付けられた。

ただ、ここ二、三年、彼が精神的、飲酒関連で迷走している噂を聞くと、芸能人としての山口氏のイメージはほんの一面、仮の姿なのだろう。プライベートで様々なことがあっても、テレビの世界ではニコニコしてはしゃいでいなければいけない芸能人は、精神的にチグハグせざるをえない世界なのかもしれない。

 

しかし、山口氏の運転していたバイクの後続車のドライブレコーダーの映像によると、細い道のミギヒダリを大きく振らついていては、誰が見ても非常に危険なことだ。

クルマ対クルマでも飲酒運転は「ダメ、ゼッタイ!」だが、バイクを運転するのだとしたら尚更だろう。素面の私が自転車に乗っていて、道端の小さい石っころのような段差につまづいてスッコロび、二ヶ月右足が曲がらなかったというのに、バイクなら最悪死んでしまう・・・。歩行者、自転車、バイク同士なら相手も大怪我、殺しかねない。

酩酊していて、判断力が低下していた、記憶を失っていたという言い訳も立たず、「友人に会いに行くため」という意識もあり、自らバイクに乗ることを選択し、警察の白バイが横を通ると真っ直ぐ運転しているように見せかけようとしたしたたかさは、彼が病気を患っているという噂を抜きにすれば、同情の余地はない。

酒好きは飲みたい気持ちを我慢できない習性があるのは、私もそのクチなので分かる気がするが、山口氏はすくなくとも実害を周りの人間に与え始めている。

酒は頭に直接いく刺激なので、ひと昔前のような「酒を飲むのは気が弱いから」とは思えないが、気を強く持って、もう一度、キラキラした素敵な姿をテレビで見せてもらいたい。

 

で何でタイトルと違うことを長々と書いていたかというと、最近私が読んだ、タイトルの本「琵琶綺談」の中に中島らも氏の『琴中怪音』という素敵な短編があったからで、作者の中島らも氏も山口達也氏が患っているとされる双極性障害があったらしい。

琵琶綺談→中島らも→そういえば双極性障害という病を・・・→山口氏も同じ病を患っているらし・・・、

まぁ、言い方が良くないが連想ゲームしてしまったのです。

 琵琶をキーワードに、いろんな作家が書いた短編を集めた、アンソロジーの本だ。

 

この『琴中怪音』は、ストーリー自体はとびきり変わっている所はない。が、楽器、音楽好きで、自らも海外に行ったときにその土地の民族楽器を買ってきてしまう性癖の中島らも氏らしい、音楽・楽器好きなら誰しも強く共感できるだろう、楽器を擬人化した物語なのだ。

もろネタばれしてしまうが、

主人公は、

“上海で、五本の指に入る琵琶の弾き手”であり、“唐の時代に皇帝から下賜されたらしい”家法の琵琶を大切にしている。

上海の外灘(ワイタン)海品(シーフード)公司(会社?)、海産物を取り扱う会社?に勤めていて、プロの弾き手ではなく、あくまで宴席に呼ばれて演奏することがあるだけらしいが、前述の家法の琵琶でなく、ごく普通の琵琶を弾いてさえ、琵琶一本で小一時間、人々をうっとりと聞きほれさせて、陶然とさせるだけの腕を持っている。

芸に精進してさえいればいいのに、

最近、嫁いでいった娘のために祝いの金、まとまった金を渡してやりたく思うが、勤めの給料では十分でなし、宴席の演奏で貰うギャラはたかが知れている、弟子でも取ろうか、と考えているが若者の間では洋楽が大流行、伝統音楽など見向きもしない、

というので、主人公は、

段々とお金の事が頭の中を占めていく、

ところに党の役員をしている琵琶好きで主人公の演奏のファン、というより本当は、主人公が大切にしているらしい立派な琵琶が欲しい目当てでお偉いさんが自宅に訪ねてくるんですな。

 「この琵琶を二十万元(主人公の給料の二十年分)で譲っていただけませんか?」

と。

主人公は、自分は譲る気など毛頭ないと言ったし思っていたつもりだが、その実、金のことを考えていた折、すぐには稼ぎ出せない大金を目の前にチラつかされ、目玉がお金マークでいっぱいになるのだ。

その日から、琵琶の中で、“ことり”と音がし、または琵琶が意図的に“ことり”と音をさせ、家宝であった琵琶は金に目がくらんだ主人公自身を「試す」わけだが、そのまま家宝として変わらず大事にされたい琵琶の思惑を外れ、お金マークの主人公は、琵琶の健気な主張に気付かないばかりか、唐代の竹筒、由緒正しい血統書が内蔵されてるのではないか、楽器の表板を開けてみようとますます欲を深くする。

主人公の家に代々大切にされてきた家宝の琵琶は、腕のいい楽器職人によってバラバラにされ、楽器の中にあった直方体のものには”唐~”と書いてあるように見えるが、触ろうとした瞬間、四散してなくなってしまう・・・。

琵琶はご主人様に決別し、結果的に、その琵琶は鳴らなくなってしまうのだ。

 

この小説の舞台が中国として描かれてあるものの、中国に同じ思想があるだろうか、日本のアニミズム、どんなものにも魂が宿るという考えが、この物語の根底に流れているだろう。

唐の皇帝から頂いたらしい琵琶を、「名器」と考えて家宝にしていれば、魂を持った琵琶もそれに応じて素晴らしい音を奏でるのに、お金と引き換えに手放そうとしたために、琵琶の恨みを買い、恨みはらしに琵琶は音を鳴らさなくなった。

なんとも日本人的な精神が『琴中怪音』に流れていて可愛らしい。

 

この本の作品中、一発目、平岩弓枝さんが書いた『孔雀に乗った女』も『琴中怪音』と同じく、ある素晴らしい琵琶が大事にされないばかりに人間に奇妙な体験をさせて、寂しい思い、恨み、を伝える、楽器好き、音楽好きにはたまらない物語だ。

ぜひ、一読されて欲しい。

この二作品以外は、キーワードとして琵琶をかすってはいるものの、楽器に対する思い入れが薄いし、頭の中だけで構築された物語のようで、読んでいて残念に思う。

 

現代に、楽器(もの)を大切にしなかったからと言って、音がしなくなったり人間に危害を加えるという物語が聞かれることはない。必要なくなれば売られ、または捨てられ、音に不調があれば然るべき理由で説明されるだろう。

だが、古来のアニミズム的発想から物が人間にいたずらする話を語ったり、物を大切にし、現代の科学的思考から、この世に物が溢れ、平気で捨てられるとすれば、オカルトと呼ばれてバカにされるような、ものを大切にしないと化けて妖怪になるぞ、という古来の考えから学ぶ所は多いのではないだろうか?

 

 

 

 

大正琴のクリーニング

A-ha(アーハ)というノルウェーのバンドの「Take On Me」って曲が好きで、DTMの練習がてら三味線の音をメインにカバーしてみました。

曲中に、大正琴の音を入れてみようと思い、しばらく弾かれずに埃をかぶっていた祖母所有のケースを開けてみると・・・、

 

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近くで見ると、何か得体の知れない卵が産み付けられてるような粒々が・・・(実際は卵じゃないよ!)、キッチャナイ!

糸巻きの金属部分が錆びに錆びきっていました。

一応、このままでも音合わせや演奏は出来ますが、このままケースにしまわれるには、この大正琴さんに失礼だと思い、今回はこの糸巻き部分を中心に、綺麗に自分なりのクリーニングを施してあげることにしました。

 

インターネットで「錆び 落とす」とか何とかで検索すると、クエン酸を溶かした水(お酢でも可)に漬けておくと取れるとあり、手軽だしクエン酸も家にあったのでさっそく試す事に。

しかし問題が!

 

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手前、左から二番目のネジがなかなか固くて抜けないんです。プラスドライバーがダメなら一本溝を作ってマイナスドライバーで、とかで素人なりに工夫したのですが、工作音痴がドライバーで無理矢理グリグリやったせいで、ネジ穴もバカになっちゃった(なめた、というのかな?)し。

 

手持ちの道具ではどうすることもできない。

 

またインターネットで、「ネジ バカになった 取り方」と検索すると、上位のページに“ネジザウルス”という商品を販売するメーカーのサイトが目に留まりました。

 

 

―頭のつぶれたネジってどうやって外すの!?ネジザウルスでつかんで廻すだけではずせます―ですって。

私の欲しかったやつじゃん、というので、ネジザウルスZ PZ-60をさっそく注文しました。

 

三日後、商品が到着。

 

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表面の金属が粉々に剥がれ落ちるばかりで、ネジザウルスでも取れないなと思っていたのですが、回す方向が逆なだけで無事外すことができました。

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ほとんどのネジは錆びてボロボロになっていました。ユニクロ?とかいう柔らかい材質が使われているようです。

 

これからクエン酸の液に漬けて、糸巻きの錆を溶かしていきます。

 

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紙パックの焼酎の底を使用しましたが、あとでもっと液にどっぷり浸したくなったので、容器を小さめのバケツに変更しました。5、6時間は漬けていましたかね・・・。

糸巻きがクエン酸のお風呂に入っている間、錆が液に溶け出していくのを眺めるのは何とも気持ちがいいものでした。

この作業と並行して、楽器のボディ部分を掃除します。

 

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楽器の後ろのネジを外すと、左手で押える鍵盤部分がフタのように外れます。

鍵盤部分は簡単に、埃がたまっていたのをふき取って、上の画像、左に写っている土台の部分を磨いていきます。

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ギターの指板を磨く時に使う、レモンオイルを使います。(画像奥に写っている、黄色い液体の容器がそれ)

まず全体的にしっかりクリーニングシートで汚れを拭き取り、次にオイルで潤いを与えつつ、丁寧に磨いていきます。

心なしか、大正琴さんも嬉しそうな顔つきになっているような・・・。

 

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糸巻きの内側の溝部分に溜まった錆の粉も出来るだけ除去し綺麗にします。

 

糸巻きの錆も取れかかってきたようなので、クエン酸のプールから引きあげます。水洗い後、水分を切ってみると・・・、

 

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錆のせいで金属の先端部分などはボコボコですが、綺麗になったのではないでしょうか?

 

各部分のクリーニングが終わったので、近所の楽器屋で細弦を四本購入、ホームセンターで、腐ってしまったネジと同じ位の大きさのステンレス製ネジを購入後、再度、組み立てていきます。

 

 

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糸巻きの上列左から二つ分はがたつきがあるので、その他の四つに細弦を張りました。赤い線で囲まれている部分は、通常太い弦を二本張るのですが、個人的に太い弦は必要ないので今回は張りませんでした。

 

ギターやウクレレを弾く人は自分で自分の楽器の調弦が出来る事や簡単なメンテナンスをする事が当たり前の世界なのに、三味線や大正琴のサークルに入会している方々の中には、自分で楽器の音を合わせることができない、糸を張り替えることができないなどで、会の先生や出来る人に丸投げしてしまっている人が多く見受けられます。

自分の楽器は自分で音を合わせる、弦の交換が出来るようになる、自分の楽器のどこがいま不調なのか気付いてあげられる。

素人なりにも自分の楽器を自分の手で愛情を持ってメンテナンスするのはとても大事だと思います。気のせいか、その愛情に応えてくれるかのように、楽器は音色で素晴らしい感謝の言葉をかけてくれるように感じます。

やっぱり、しまってばかりいないで、時々ケースから出して、弾いてあげることが一番ですね。

 

冒頭に述べた、カバーしてみた音源は下記に貼っておきます。大正琴の音がどこに混ざっているのか、お耳汚しかもしれませんが、探してみてくださいね。


a-ha Take On Me[shamisen version] 三味線版